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SDGs for All

SDGs for All is a joint media project of the global news organization International Press Syndicate (INPS) and the lay Buddhist network Soka Gakkai International (SGI). It aims to promote the Sustainable Development Goals (SDGs), which are at the heart of the 2030 Agenda for Sustainable Development, a comprehensive, far-reaching and people-centred set of universal and transformative goals and targets. It offers in-depth news and analyses of local, national, regional and global action for people, planet and prosperity. This project website is also a reference point for discussions, decisions and substantive actions related to 17 goals and 169 targets to move the world onto a sustainable and resilient path.

新国連人権高等弁務官を巡る毀誉褒貶

Photo: Michelle Bachelet of Chile, newly-appointed as the next UN High Commissioner for Human Rights by Secretary-General António Guterres. UN Photo/Jean-Marc Ferre.【ニューヨークIDN=J・ナストラニス】

チリのミシェル・バチェレ前大統領が8月10日、国連総会本会合において全会一致で第7代国連人権高等弁務官に承認された直後、アントニオ・グテーレス国連事務総長はこうツイートした。「バチェレ氏は先駆者で先見の明があり、信念の人であり、この困難な時代にあって偉大なる人権活動のリーダーです。」グテーレス事務総長は、バチェレ氏の指名を8月8日に国連総会に提案していた。

英国国連協会のナタリー・サマラシンゲ代表も同じ意見だ。同代表は、「バチェレ氏の任命は確かに説得力のある選択です。彼女は、チリ政府の最高レベルで執務した経験、UNウィメンの初代事務局長として国連システムの最高レベルで執務した経験、そして、(ピノチェト軍事独裁政権による)抑圧下で市民社会と協働した経験があります。」と語った。

グテーレス事務総長による指名発表の前、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のケネス・ロス代表は、「バチェレ氏は、もし選出されれば、人権が広範囲な攻撃に晒されている今日、世界で最も困難な仕事を引き受けることになる。彼女は、自身も(独裁政権下で拷問を受けた)被害者として、人権を力強く擁護する重要性について、国連人権高等弁務官の役割に独自の観点を持ち込むことだろう。世界の民衆の命運は、とりわけ加害者が強力な立場にある場合、彼女が公的かつ強力な人権擁護者となれるか否かにかかっています。」と述べていた。

事務総長は記者会見において、「出身のチリのみならず、国連においても傑出した人物」であるバチェレ氏が公式に国連人権高等弁務官に任命されたとの報は「実に喜ばしい」と、記者らに語った。そして、UNウィメンの初代事務局長(2010~13)としてのバチェレ氏の役割を振り返り、「この立ち上げ間もない組織をダイナミックに統率しました。」と語った。また、チリ初の女性大統領と努めた実績や、自身や自身の家族が標的となった当局による数十年前の弾圧を生き延びた点も指摘した。

事務総長はさらに、「バチェレ氏には、軍事独裁政権下の暗い時代を生きた経験があります。また、彼女は医師として、健康を渇望し、その他の重要な経済的・社会的権利を享受することを熱望した民衆が経験した様々な試練を知っています。そして彼女は、国家レベルとグローバルレベルにおいて、リーダーに求められる責任とは何かを知っています。」と語った。

新国連人権高等弁務官としての指名承認を受けてバチェレ氏は、「この重要な任務」を与えられたことに「深く感謝し光栄に思います。」と語った。

今年は世界人権宣言誕生から70年を迎える。「憎しみと不平等が拡大している」時代にあって、「人権の強力な擁護者」を持つことはきわめて重要であり、「これ以上の選択肢はありません」とグテーレス事務総長は語った。

国連難民高等弁務官事務所は1993年に創設された。人権高等弁務官は、国連の人権活動に主要な責任を持つ役職だ。人権メカニズムの強化、平等の促進、あらゆる形態の差別の撲滅、アカウンタビリティーと法の支配の強化、民主的空間の拡大、あらゆる形態の人権侵害から最も脆弱な人々を守ることが任務だ。

「ミシェル・バチェレ氏は、国連と我々すべてに独自の経験をもたらし、人権を国連の仕事の最前線に据え続ける取り組みを担っていきます。」「私は彼女に絶大なる信頼と支持を置いています。すべての国連加盟国とパートナーに対して、バチェレ氏を支援するよう求めます。」とグテーレス事務総長は語った。

バチェレ氏の前任は、8月31日に4年間の任期を終えて退任する予定のザイド・ラアド・フセイン氏(ヨルダン出身)である。8月初旬に国連の記者らに自ら語ったように、ザイド・フセイン氏は、米国・中国・ロシアといった主要国の支持を得られないだろうとの見通しを示していた。

ザイド・フセイン氏はドナルド・トランプ米大統領の一部の政策と彼のメディア攻撃に対してきわめて批判的であった。ザイド・フセイン氏は2014年に就任した時に受けた助言を回想して、「『表に出て言いたいことを言う』ことが必要だとアドバイスくれた人がいて、実際、その通りにやってきました。黙っていては尊敬を得られません。我々(=国連難民高等弁務官事務所)が政府に恥をかかせようというのではなく、(問題がある場合は)政府が自ら恥ずべき行為をしているのです。」と述べていた。

ザイド・フセイン氏は、旧イラク王国の廃位された王家の継承者であり、ヨルダン王室の一員でもある。国連はその官職にある者に王室の敬称を付けることを認めていないが、国連に職にない時は「ザイド王子」として知られている。2000~07年と2010~14年の2度にわたってヨルダンの国連大使、2007~10年には駐米大使を務めた。

2005年、彼は国連平和維持活動局付きになり、PKOにおける性的搾取・虐待の問題に関する有名な「ザイド報告」を執筆した。ゼイド・フセイン氏は、忌憚のない発言で知られ、人権高等弁務官として問題提起を行ってきたが、行政官としての手腕については一部の加盟国から疑問が付されていた。

グテーレス事務総長は、「ゼイド・フセイン氏はこの4年間、『リーダーシップと情熱、勇気と能力』をもって仕事にあたってくれました。私の良き同僚であり友人であるゼイド・フセイン氏に深い感謝を申し述べたい。」と語った。

ゼイド・フセイン氏は8月10日の声明でバチェレ氏の指名を歓迎して、「彼女には、勇気、粘り強さ、情熱、人権への深いコミットメントといった、人権高等弁務官として成功するに足るあらゆる資質が備わっています。国連人権局はバチェレ氏の就任を歓迎するとともに、あらゆる人にとっての、あらゆる場所における全ての人権の促進と擁護のために彼女のリーダーシップの下で活動することを楽しみにしている。」と述べた。

イスラエルのダニー・ダノン国連大使は、「ゼイド・フセイン氏は誤った情報ばかり捏造し、イスラエルに関しては嘘ばかりついていた。」として、ゼイド・フセイン氏の退任を歓迎すると述べた。

国連総会の決定を受けて、一部の代表らはバチェレ氏の指名を歓迎する発言をした。

チリ代表は、「世界人権宣言誕生70年を迎える今年、そして人権の規範が困難に直面している現在にあって、バチェレ氏が任命されたことは大きな意味を持つ。」と述べ、国際社会が人権を擁護する必要性を強調した。

イラン代表はバチェレ氏に対して、関連決議に従って任務を遂行し、人権は「強国が、嫌いな相手に対して利用するツールではない」ことを明確にするとともに、そうしたやり方から生じる政治問題化や対立の先鋭化に対処するよう要求した。

一部の政府代表は、財政や政治の面で、人権高等弁務官事務所を支援する必要性を強調した。

米国のニッキー・ヘイリー国連大使の副使を務めるステファニー・アマデオ次席大使は、「米国が人権理事会から脱退したのは、国連システムや世界全体において普遍的人権を促進するという我々のコミットメントからの後退を意味するものではない。」と指摘したうえで、「人権理事会が今日の世界における最も悪辣な人権侵害に対処できていないことを考えれば、国連事務総長による新たな人権高等弁務官の指名が、より一層重要な意味あいを持ってくる。」 と語った。

アマデオ次席大使はまた、「人権高等弁務官は、とりわけ人権理事会がその名にふさわしい活動をできない場合には、これらの重要問題に関して強い発言権を持っている。事務総長の指名を受けたバチェレ氏には、国連の人権システムが過去に犯した失敗、とりわけ、ベネズエラやキューバといった西半球の国々における極度の人権侵害に人権理事会が一貫して対処できなかった失敗に対処する責任がある。」と語った。

アマデオ次席大使はさらに、「国連システムは、イランや北朝鮮、コンゴ民主共和国などにおける人権上の主要な危機に適切に対処することができなかったし、イスラエルに対する長年の不当な執着をやめることもなかった。現状をそのまま受け入れるのではなく、これらの失敗に対して声をあげるかどうかはバチェレ氏次第だ。バチェレ氏が是非そうするように望む。米国もまたそうする所存だ。」と語った。

キューバ代表は、米国はこの会合を「現実を捻じ曲げる」機会として利用していると述べた。キューバは、米国よりも多くの人権諸条約に署名している。キューバ大使は米国がいかに人権侵害をしているかを主張したが、ベネズエラ大使もまた同様の考えを述べ、米国に説教をする権利はない、と訴えた。

さらに、アフリカ諸国を代表してマダガスカルが、アジア太平洋諸国を代表してソロモン諸島が、東欧諸国を代表してエストニアが、ラテンアメリカ・カリブ海諸国を代表してアルゼンチンが発言し、(豪加両国と共同で)ニュージーランド、加えて欧州連合、英国、スイスも発言した。

国連ウォッチ」のヒレル・ノイアー代表は、人権侵害を起こしたことのある政府をバチェレ氏が支持した経緯があることは懸念材料だと指摘した。

「このチリの前大統領は、教育レベルが高く知性のある政治家であり、すぐれた交渉スキルをもつ人物であることは間違いない。しかし、キューバやベネズエラ、ニカラグアの人権侵害的な諸政府を支持した点で、バチェレ氏には疑問符が付く。指名投票が行われる前に、彼女がこうした緊急事態にどう対処しようとしているのか知る必要があります。」とノイアー代表は語った。

国連人権高等弁務官を1期4年プラス1年(1997~2002年)務めたメアリー・ロビンソン氏が英国国連協会のインタビューのなかで、「[国連人権高等弁務官事務所は]権力に対して真実を語ることを常に余儀なくされる組織」と答えていることは、こうした状況を踏まえるとよく理解できる、と識者らは指摘している。

ロビンソン氏は、7月17日に英国国連協会のインタビューに次のように答えている。「私は、任期7年の[アイルランド]大統領2期目に立候補しないことを決めました。私がこの決定を下した直後、初代の国連人権高等弁務官であるアヤラ・ラッソ氏が突如辞任したのです。彼はエクアドルの外相になるために本国に戻っていきました。…アイルランド政府は、私に高等弁務官に就任するよう強く要請してきました。きわめて厳しい戦いでした。そして、1997年7月、コフィ・アナン国連事務総長が私を指名し、そのすぐあとに国連総会によって承認されたのです。」

「ニューヨークにアナン事務総長を訪ねていくと、9月までに仕事を始めるよう強く要請されました。これは、国連総会会合の場に高等弁務官が必要だと考えていたからです。私は、このままだとアナン事務総長の気が変わって私を指名しなくなるかもしれないと考え、結局要請を受け入れることにしました。大統領職を任期終了前(その時点で3か月を残していた)に離れてしまうのはあまりいい判断ではなかったと後悔しました。より高いポジションへの踏み台として大統領職を利用したのではないかとの悪い印象を残してしまったからです。もちろんそれは事実ではありません。いったん(国連人権高等弁務官の)仕事を始めてしまえば、それが実際のところ『より高いポジション」などではないことは明白でした。』

英国国連協会によれば、指名プロセスが公式に始まる数カ月前の段階でまずバチェレ氏の名前が挙がったと指摘している。「しかし、今回の指名は前例のない時間的プレッシャーの中で行われ、バチェレ氏は任務開始までの準備時間として、これまでで最短記録となる、わずか3週間しか与えられていない。」(8.10.2018) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

 

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