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Reporting the underreported about the plan of action for People, Planet and Prosperity, and efforts to make the promise of the SDGs a reality.
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SGI Soka Gakkai International

 

Photo: Screenshot of EEPA Webinar on May 25.

|視点|コロナ禍に苦しむインド、危機への対処に苦慮(シャストリ・ラマチャンドランIDNの上級編集コンサルタント)

【ニューデリーIDN=シャストリ・ラマチャンドラン】

インドで新型コロナウィルスがもたらしている津波のような感染と死は、弱まることなく続いている。中央・各州政府や民衆は、病床や医薬品、人工呼吸器、そしてこの危機を乗り越えるために必要な物資不足と闘い続けている。恐るべき死と、死に逝く者たちの窮状を目の当たりにして、人々の心に恐怖が蔓延している。人々は、新型コロナウィルスが、いつ、どこで、誰にどんな形で襲いかかるのか、もし身近な人が罹ってしまったらどう対処すればいいのかわからず、慄いている。

私は、ジャーナリストとして、いくつかのメッセージ・グループに属している。記者室や省庁、仲間内のグループから、1時間に100件以上のメッセージがまるで紙テープのように飛び交っている。そのほとんどが新型コロナウィルスに関するもので、インド内外で何人亡くなったか、インドを支援するために各国からどれほどの支援物資が寄せられているか、といったものだ。この国は、1947年の分離独立以来で最も暗い、大量死の時を迎えている。

私は、1350軒から成る集合住宅に住んでいて、いくつかの「ワッツアップ」(WhatsApp)のグループに属しているが、流れてくるメッセージは新型コロナ関連ばかりだ。誰が亡くなった、亡くなりかけている、必死で酸素吸入器を探している、ICUの内・外どちらでも、人工呼吸器のある、あるいはない病床を探している、救急車はどこだ、特定の薬はどこだ、あるいは、食料やお金、物理的な支援、医薬品、オキシメーターはどこだ、死体の埋葬を手伝ってくれるものはあるか、といったメッセージばかりだ。

「ワッツアップ」「テレグラム」「シグナル」といったOTTグループは、専門家によるものであれ、あるいは、社交・文化団体・クラブ・地域・組織・職場によるものであれ、私の加わるグループすべてで、心を痛めるようなニュースや緊急アピール、新型コロナの攻撃から生き残るために闘っている個人や家族、集団、NGO、独立のワーカーや機関からの必死の呼びかけで溢れている。ツイッターのようなSNSもまた、SOSのメッセージと支援の申し出で埋めつくされている。

ロックダウン、あるいは夜間外出禁止の下での隔離生活においては、食料品や乳製品、果物や野菜、あるいはその他の生活必需品を誰かが戸口まで届けてくれることでホッとできる。幸いなことに、それは、数週間とは言わずとも数日は会っていない隣人ではない。普通の生活を送っていれば、日に何度も出会うような人たちだ。戸口で隣人や友達の誰にも会わないということは、ニュースが、とりわけ良いニュースがもたらされないということだ。

外の世界との接触は、誰かが何か大事なものを私に届ける束の間の冒険の間に直接的な形でなされるか、あるいは、新聞やテレビ、SNSや私の電話に流れてくる大量の動画や画像を通じてなされる。今回のパンデミック下の生活は、スペイン風邪の時代や、インドが1947年に分離独立した際の多数の死傷者や、私が読んだり映画で見たりしたのよりも、はるかに劣悪なものだ。

「インドが分離独立して以来最悪の、これほどの規模の災害にいかにして夢遊状態のまま至ったのだろうか。」と元外交官のラケシュ・スード氏は問うている。彼は、2013年にインド首相の軍縮・不拡散問題特別大使であった人物だ。1947年にインドとパキスタンが英領インド帝国から分離独立した際、ヒンズー教徒とイスラム教徒の対立が深まり、数十万人の血が流された。

多くの人々が、分離独立時の暴動とパンデミックの比較に対して眉をひそめるかもしれない。かたや自然災害であり、かたや人為的な紛争だ。しかし、大量死の状況に共通するものは、政府と国家機関の失敗である。これが災害に拍車をかけ、秩序をさらに悪化させて、死者の数が増えることになる。インドを新型コロナの第二波が襲う中、死者の数が増え続けているのは、ウィルス感染のためなのか、無作為のためなのか、或いは、必須の医療サービスが得られないためか、酸素ボンベや吸入器のような生命を救う支援を得られないためか、それとも単に、何らかの医療行為を得られる病床が足りていないせいか、断定することは難しい。

デリーでは、1時間当たり少なくとも10~15人というペースで人が亡くなっている。都市全体が死者と死にゆく者たちのディストピアと化し、歩道や車道にまで、死体を休むことなく燃やし続けるための薪があふれている。テレビやSNS、新聞は、大小を問わずインドの他の都市で人々が経験している同じような悪夢を繰り返し報じている。火葬は一日中続き、濃い煙が薪から立ち昇って、町全体に黒い雲がかかっている。煙を通す鉄のパイプは、しばしば熱で溶けてしまっている。

デリーでもその他の都市でも、火葬場の外には死体の長蛇の列ができている。あらゆる都市において、火葬場が発表する死体数は、ただでさえ恐るべき数の公式発表の死者数よりもはるかに多い。5月5日、インドの新型コロナによる死者数は24時間で4000人近くにのぼり、世界の半数を占め、感染者数は38万2000人に達した。医療専門家らは、実際の死者・感染者数は公式発表の5~10倍であると述べている。英国の『ファイナンシャル・タイムズ』紙は、死者・感染者数は公式発表の8倍に達するとの推計を発表した。しかし、ある線を越えれば数字は問題ではなくなる。なぜなら、時間によって統計に変換されるそうした数字では、家族や友人、人々の喪失の真実を感じ取ることはできないからだ。

病院の光景は火葬場のそれと同等に凄惨なものだ。人々が病院に集まり、数百台とは言わないまでも数多くの救急車や車両が、病床や酸素吸入器、緊急支援を求めて列を成している。この危機にあって、ほとんどの病院やその関係者にとって、対処不可能な状況だ。昨年に始まった新型コロナの第一波では、死者の最大数は、医師や看護師、医療従事者が占めていた。

ナレンドラ・モディ首相が率いる政府は、無策のままこのような状況を招いたとして厳しく非難されている。また同時に、モディ首相の過剰な自信や、公的医療の軽視、第二波を警告した人々への軽蔑から生じた結果でもある。インドを第二波が襲うほんの数日前、モディ首相と保健大臣は、新型コロナウィルスへの勝利宣言を出していたのである。モディ首相は、「世界経済フォーラム」において、新型コロナとの闘いでインドは世界の模範になるであろうとぶち上げた。インドの世界最大のワクチン製造業者が製造した新型コロナワクチンが、インドは「世界の薬局」と高らかに宣言される中、多くの国に輸出されていた。

モディ政権はこうした楽観的な予想に基づいて、商店街や映画館、クラブ、バー、ホテル、レストラン、公共交通機関、職場などあらゆる場所を開け、形式的に繰り返されるコロナ対策は実際には無視された。新型コロナの感染を抑え込んだと自信を深めたモディ首相やその閣僚、党幹部らは選挙戦に突入していった。健康を守る公的な警告は、無視されるだけではなく、打ち棄てられたのである。新型コロナの爆発的感染に対処するために必要な酸素吸入器や病床、病院の能力強化のために始められた対策は放棄された。人工呼吸器を作り、酸素吸入や濃縮の能力を強化する必要性は忘れさられた。病院の能力を強化し病床を増やすのではなく、とりあえず仮に作られていた病床ですら、解体されていった。

政府はまた、ガンジス川河畔で執り行われる宗教的祝祭「クンブ・メーラ」の開催(3月~4月)を許可し、約500~700万人がコロナ対策なしに参加する結果を招いてしまった。クンブ・メーラがスーパースプレッダーになり、数か月かけて感染が広がっていったのではないかと見られている。この状況の中、政府は、特定の時期を示さないまま、第三波の到来を警告している。そして、デリーなどの都市で仮病院が急造される中、医師や医療従事者、医療機器や資材が不足している。世界中から届けられている緊急支援品は、理由が説明されないまま、空港に山積みにされている。

ブラウン大学公衆保健校の学部長であり、グローバル・ヘルスの専門家であるアシシュ・ジャ教授は、『ワイヤー』誌の取材に応じて「自らが任命した科学顧問からの助言を無視したモディ政権こそが、インドが直面している現在の新型コロナウィルス危機をもたらした主な原因の一つである。」と語った。

病院がもはや生存のためのライフラインになりえないように、ジャーナリストを含めた前線の労働者にとって、保険というものも実用的なものではなくなりつつある。保険に加入していたとしても、デリーなどの感染拡大地域で感染してしまれば、どこにも行くところはなく、なす術がないままただ横たわって死を待つのみだからだ。患者が必要とする医療品や医療従事者、病床や病院の施設、酸素吸入器、必要な医薬品が何もないからだ。これまでにデリーでは少なくとも52人、インド全土では100人以上のジャーナリストが亡くなった。

第二波によって中央政府はワクチン投与を急いでいるが、ほとんどの州には、予定開始日の5月1日になってもワクチンのストックがなかった。公式説明は現実とはずいぶん違っている。インドが世界最大のワクチン製造国とは言っても、保健省の説明によれば、この国の全人口13億5000万人の1割にあたるわずか1億4160万人しか、ワクチン1回分を受けていない。完全な投与[訳注:2回分の投与]を受けたのは、全人口の2.9%にあたる4000万人超のみである。このペースでは人口全体がワクチンを受けるまでに2年はかかる計算だ。ワクチンの供給は早くて8月、おそらくは12月近くまでかかる。その時までには、コロナが収束しているか、あるいは、破壊と死の限りを尽くした第二波はもう終わっているだろう。

いわゆるワクチンの大量投与計画は、感染予防対策や医療品の供給、インフラ整備、治療対策がそうであるように、まったく混乱している。そしてそのすべてが、需要に全く追いついていない。数々の大規模な失策に加えて、中央政府や各州はまた、実際の死者数を隠蔽し問い合わせに答えず、科学者や医療専門家からのアドバイスを無視し、こうした危機にあって望ましいレベルの対応からあまりにもかけ離れているということで、非難されている。

新型コロナウィルスの変異株を発見するために政府が設置した専門家委員会から著名なウィルス学者のシャヒッド・ジャミールが5月16日に辞任したことが、このことを裏書きしている。彼の辞任は、政府のコロナ対応について彼が疑問を呈してから数日後に起こった。ジャミール博士は最近、インドの科学者は「エビデンスを基にした政策決定に対する頑強な抵抗」にあっていると『ニューヨーク・タイムズ』への寄稿で述べていた。低レベルの治験、ペースの上がらないワクチン投与、ワクチン不足、医療従事者増員の必要性など、彼はインドのコロナ対策の問題を指摘していた。「あらゆる措置が、私の知るインドの科学者から支持を得ている。しかし彼らは、エビデンスを基にした政策決定に対する頑強な抵抗にあっている。」と博士は記した。

死者と死にゆく者たちのディストピアのイメージを浮かび上がらせる小説や映画には枚挙にいとまがない。しかし、インドの現実は、フィクションや映画で想像されたり視覚化されたどんなものよりも、筆舌に尽くしがたく暗いものである。欧州における疫病やスペイン風邪がもたらした破滅的な事態に関する最も真正な説明でさえも、新型コロナウィルスの第二波がインドで引き起こした悪夢に対応するための教訓をもたらしてはくれないのである。(05.17.2021) INPS Japan/ IDN-InDepth News

※著者は、ニューデリーのジャーナリストで、「WION TV」の編集コンサルタント、IDNの上級編集コンサルタント。

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