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Photo: A worker sorts a green leaf tea before it reaches the main processing floor at the Kitabi Tea Processing Facility in Rwanda. Credit: A’Melody Lee / World Bank

世界経済の好転で持続可能な成長への見通しを期待できる

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Photo: A worker sorts a green leaf tea before it reaches the main processing floor at the Kitabi Tea Processing Facility in Rwanda. Credit: A’Melody Lee / World Bank【国連IDN=J・ナストラニス】

国連の最新の報告書によれば、世界経済は2011年以来最高の3%成長と好調であるものの、後発開発途上国(LDCs)のほとんどが、持続可能な開発目標[SDGs]の項目8.1にうたわれている「少なくとも7%成長」を達成できそうにない。

17分野、169項目から成り、2015年9月に国際社会が採択した「持続可能な開発目標」の第8目標は、「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の推進」をうたっている。その目標8.1は、「各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。」必要性を強調している。

国連が12月11日に発表した報告書「世界経済の情勢と展望2018」は、LDCsが持続可能な開発に向けて前進するには、制度上の欠陥、不十分な基礎インフラ、高い頻度で起こる自然災害、安全保障上の試練や政治不安等の難題が引き続き障害となっている、と指摘している。

報告書はまた、政策の力点は、LDCsの投資ニーズを満たすための財源の動員に加えて、紛争予防と、LDCsの経済発展を妨げている障壁の除去に置かれるべき、と指摘している。

しかし、世界的に堅調な経済成長を背景に、気候変動への対処や既存の不平等問題への対応、開発の制度的障壁の除去といった長期的な問題に向けて政策を方向転換する道が開くことになるはずだ。

報告書によれば、危機に関連した不安定状況と、その他の最近の衝撃によるマイナス要因が落ち着くにつれて、世界経済は改善基調に転じ、2017年にはおおよそ3分の2の国々が前年よりも高い成長を見せることになりそうだという。世界的な経済成長は、2018年・19年にも3%と堅調であることが予測される。

こうした状況を踏まえ国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、報告書の序文に「『世界経済の情勢と展望2018』は、現在のマクロ経済的な状況から、持続可能な開発目標の達成に向けた前進を阻害し続けている根深い問題の一部に、政策責任者らがこれまで以上に対処できる余地があることを示している。」と記した。

国連の劉振民・事務次長(経済・社会問題担当)は12月11日の報告書発表の記者会見で、「世界経済の好転は、経済が堅調であることを示す喜ばしい兆候ですが、これが環境を犠牲にしたものであるかもしれないことを忘れてはなりません。したがって、先月(11月6日~17日)にボンで開催された国連気候変動会議(COP23)でも強調されたように、環境を犠牲にして成長を目指すことがないように努力を重ねる必要があります。」と語った。

報告書は、国連経済社会局国連貿易開発会議(UNCTAD)、国連の5つの地域委員会(アフリカ経済委員会[ECA]、欧州経済委員会[ECE]、ラテンアメリカ・カリブ海地域経済委員会[ECLAC]、アジア太平洋地域経済社会委員会[ESCAP]、西アジア経済社会委員会[ESCWA])の共同作業によるものだ。

同報告書によると、近年のグローバル経済の成長は、専ら一部の先進国の堅調な成長によるものだが、東アジアや南アジアは引き続き世界で最も経済の活力を備えた地域であり続けている。2017年、東アジアと南アジアの世界経済成長率への寄与率は約50%に上った。このうち、過去6年間で最も高い成長(6.8%)を見せた中国の寄与率は、実に世界全体の3分の1を占めた。

アルゼンチン、ブラジル、ナイジェリア、ロシア連邦なども相次いで景気後退局面から抜け出し、2016年~17年に世界の経済成長率向上に寄与した。この好調は、世界貿易の復活と投資環境の改善によって支えられている。しかし、報告書は、中期的に見ても、この流れを生産的な投資を継続的に加速する動きにつなげられるかどうかが今後の課題だと警告している。

短期的にはこのように改善の動きがみられるとしても、グローバル経済は引き続きリスクに直面している。例として報告書が挙げるのが、貿易政策の変更、グローバルな金融状況の突然の悪化、地政学的緊張の強まりなどである。

世界経済は長期的な問題にも直面している。報告書は、堅調なマクロ経済を背景に、政策を通じて長期的な問題に対処する道筋が開かれた分野として、4つの領域(経済の多様性の加速、不平等の緩和、長期的投資の支援、制度上の欠陥への対処)を指摘している。

報告書は、こうした問題に対応するように政策の方向性を再設定することで、より強力な投資と生産性、より高い雇用の創出、より持続可能な中期的経済成長が生み出しうると指摘している。

しかし、最近における経済の改善状況は、国や地域で偏りがある。2017年~19年、アフリカや西アジア、ラテンアメリカ・カリブ海地域の一部では、一人当たりの国民所得の成長率が、きわめて低いレベルにとどまると予想されている。

この影響を受ける地域には、極度な貧困下に生きる人びとが2億7500万人もいる。このことは、中期的な成長の見通しを加速させ、収入と機会の両面で不平等の問題に対処する政策を通じて、貧困問題に取り組む環境を育てることが緊急に必要であることを明確に示している。

予備的な推計によると、2017年の世界におけるエネルギー関連CO2の排出量は、昨年まで3年連続で横ばいであったものが、初めて増加に転じたと見られている。気候関連の災害は頻発する傾向が続いており、このことは、気候変動に対するレジリエンス(回復力)を構築し、環境保護を優先する緊急の必要性を示している。

報告書はまた、パリ協定の対象外となっている国際的な航空と海運分野のCO2排出量について、陸上輸送分野のCO2排出量よりもむしろ高いレベルで伸び続けていることから、この分野を対象とする政策を強化する必要がある、と指摘している。また、多くの途上国や経済移行国が、依然として、リスク回避や突然の資本引き揚げ、世界の流動性供給の突然の引き締めに対して脆弱であり、負債の増加がグローバル金融の問題となっている、と警告している。

報告書はさらに、短期的な利益から長期的な価値創出へと焦点を移した「2030アジェンダ」や「アディスアベバ行動目標」と整合する「持続可能な財政のための新たな金融枠組み」が必要になる、と警告している。通貨・金融・外国為替政策とよく調整された金融システム規制政策が、安定的なグローバル金融環境を促進することでこの枠組みを支えるべきだ、と付け加えている。(12.13.2017) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

 

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