Home – SDGs for All

A project of the Non-profit International Press Syndicate Group with IDN as the Flagship Agency in partnership with Soka Gakkai International in consultative status with ECOSOC

Watch out for our new project website https://sdgs-for-all.net

オーストラリアの先住民、憲法上の承認を求める

share
tweet
pin it
share
share

Uluru rock in Central Australia. Indigenous Australians met in a historic summit overlooking it on May 24-26. Credit: Wikimedia Commons.【シドニーIDN=カリンガ・セネビラトネ】

1967年の歴史的な国民投票で、オーストラリア国民の約92%が、同国の先住民を人口調査においてカウントすべき「人間」であると認めた。

あれからちょうど50年、オーストラリアの250人以上の先住民族が5月24日から26日にかけて同国中部の聖なるウルル・ロックを臨む地で歴史的サミットを開き、政府に対して、議会における発言権を彼らに与えるように憲法を改正し、彼らの土地との結びつきを認めた条約を制定するよう求めた。

オーストラリアのアボリジニは、他の同国国民と同じく彼らを「人間」と認めた1967年の国民投票以来、長い道のりを歩んできた

高い教養を身に着け英語を流暢に話せる先住民系オーストラリア人の数が増えてきた。その一部は、大学教授、法律家、医者、作家、ジャーナリスト、政治家になっている。アボリジニに対する注目度を高め、この広大な大陸の先住民族として彼らの特別な地位を規定しようとしているのは、こうしたリーダーたちだ。

アボリジニは常に土地や母なる大自然との精神的なつながりを保ち、こうした主権を英国王室に譲り渡すことは決してなかった。26日のサミット閉幕の際に読み上げられた「心からのウルル声明」は、オーストラリアの憲法に「ファースト・ネーションの声」を盛り込むことと、先住民族との条約署名に向けたプロセスを開始するよう呼びかけた。

白人入植者らは何世代にもわたって、鉱物資源を獲得するため、とりわけオーストラリア北部・中部において先住民族の土地を搾取して巨万の富を築いた。

オーストラリアの先住民たちは1992年、土地への権利を取り戻す画期的な成功をおさめた。先住民のいるトレス海峡島民のエディー・マボ氏は、豪州大陸が「無主の地」でありこれを英国王に併合したと宣言する、英国によって書かれた憲法は無効だとしている。

歴史的な1992年のマボ高裁の判決は、先住民族の土地への権利の承認につながり、アボリジニが同国で保有する土地が増えることになった。今日、同国の国土の3分の1が、何らかの形で先住民族によって保有された土地である。

こうした成功があったにもかかわらず、ウルル声明が指摘するように、アボリジニは「世界で最も隔離された人びと」である。1967年の国民投票以前には、オーストラリア(や英国)の映画や報道でアボリジニはしばしば「野蛮人」として描かれていた。

「私たちは生まれつきの犯罪者などではありません。しかし、同朋の若者たちが大量に収監されています。若者たちは本来私たちの将来の希望であるはずです。…こうした危機的な側面は、私たちが直面している構造的な問題を端的に示しています。つまりこれは、私たちが力を奪われた結果、私たち自身に降りかかっている苦悩にほかなりません。」とウルル声明は指摘している。

かくして、先住民族の指導者らは、政府とファースト・ネーションとの間の「合意形成のプロセス」と、先住民族の歴史に関する真実追及を監督する委員会の設置を呼びかけた。

「1967年、私たちは(『人間として』)数えられるようになりました。2017年、私たちの声が聴かれることを要望します。」これは、声明で伝えられた強力な叫びである。「私たちが自らの運命を握る時、子どもたちは栄えることだろう。彼らは2つの世界を歩み、彼らの文化は彼らの国にとっての恩恵となるだろう。」

政府が任命した「国民投票評議会」のパット・アンダーソン共同議長はメディアに対して、会合では、政府と野党のいずれもが支持している、アボリジニ先住権の容認を憲法で行うという考えを「完全に否定した」と語った。

「この半年間行ってきた協議でわかったことは、人々は条約を望んでいるということです。つまり単なる容認ではなく、条約と、真実・正義委員会の設置を望んでいるのです。」アンダーソン氏は、この2つの考えを前進させるために今回のサミットで作業委員会が設置されたと語った。

同評議会の委員であるメーガン・デイビス氏は、このプロセスは真実と正義を認めるものだと説明した。「これは民族にとっての癒しであり、ともに成熟した国を作り上げるプロセスの一部にほかなりません。世界の他の国々でもそうであったように、まずは真実が語られねばなりません。」とデイビス氏は語った。

アンダーソン氏は、「議会において発言権を得るということは、文化的権威と高さを持つ人々の声が聞かれるようになることを意味します。」と指摘したうえで、「私たちはいずれ意思決定において発言権を持つことになるでしょう。しかし現在は締め出されており、自らの土地において無力で、声を奪われているのです。」と嘆いた。

CNNの元ニュースキャスターでアボリジニのジャーナリストであるスタン・グラント氏は、全国放送ABCのウェブサイトで、1967年の国民投票は強力な象徴的瞬間であったと指摘したうえで、「初めて、連邦議会に対して、アボリジニとトレス海峡島民のための法律を策定することが認められた。それは運動と改革の波の一部を成すもので、その後、先住民に対して教育と雇用の機会の扉が開らかれた。」と記している。

しかし、グラント氏は先住民の同朋に対して、永続的な政治的変化の議論は、単に社会経済的な不平等のみを基礎にしたものであってはならないと警告している。「第一に、そうした主張をしている人びとの多くが、私も含めて、特権を持ち、教育程度も高い。私たちは格差を埋めてきたのです。」「オーストラリア国民には、なぜ私たちが特別な取り扱いを必要としているのかを問う権利があります。」グラント氏は、「ファースト・ピープル」としてのオーストラリアの先住民族には独自の地位と遺産があると論じる。「しかし、問題なのは、オーストラリアの人々がそれをいかにして同国の民主制度の中に取り込むのか、ということです。」

野党労働党党首のビル・ショーテン氏は、5月27日に開催された1967年国民投票の票決を記念する昼食会で発言し、政治家はアボリジニによって「大きな問題」に関する「開かれた心」を学んだと述べたが、自身はウルル声明における呼びかけを実行に移すとは約束しなかった。

今年末に行われる予定の総選挙に関して世論調査で後れを取っているマルコム・ターンブル首相は、憲法改正は「きわめて困難」と演説で述べ、より懐疑的な姿勢を見せた。憲法は「議会が変更するわけにはいかず、唯一オーストラリア国民のみがなしうること」だとターンブル首相は語った。(05.31.2017) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

NEWSLETTER

STRIVING

MAPTING

PARTNERS

Scroll to Top