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Photo: A 30-foot-high monument entitled 'Turn off the plastics tap' by Canadian activist and artist Benjamin von Wong stands outside the venue for the UN Environment Assembly that concluded on March 2, 2022 in Nairobi, Kenya. Credit: UNEP/Cyril Villemain

|国連|「プラスチック汚染は世界で最も深刻な人災の一つ」根絶に向けた国際条約策定に合意

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Photo: A 30-foot-high monument entitled 'Turn off the plastics tap' by Canadian activist and artist Benjamin von Wong stands outside the venue for the UN Environment Assembly that concluded on March 2, 2022 in Nairobi, Kenya. Credit: UNEP/Cyril Villemain

【国連IDN=タリフ・ディーン】

マイク・ニコルズが監督し、チャールズ・ウェブの小説を原作とした1967年のハリウッド映画『卒業』では、大学を卒業して将来に迷いながらも実家に戻ってきたダスティン・ホフマン演じるベンジャミンに、おせっかいな友人が、「一言いいかい?プラスチックだよ。この業界には大きな未来が待っている。」と助言するシーンがある。

この有名なジョークは、当時は世界のプラスチック産業を後押しするものとして歓迎された。しかし、あれから55年、プラスチック産業は環境汚染で厳しい非難に晒されている。

国連環境会議(UNEA)が2024年までを目標に法的拘束力のある協定案をまとめることが期待されている「プラスチック条約」は、原料となる化石燃料の採掘からごみの廃棄までプラスチックの全ライフサイクルで規制を行うことから、世界のプラスチック産業に多大な影響を及ぼすものと見られている。

国連環境計画(UNEP、本部ナイロビ)のインガー・アンダーセン事務局長は、「プラスチック条約は、2015年に採択されたパリ気候協定以来、環境分野で最も重要な多国間合意となります。今私たちに求められているのは、2030年までに自然環境からプラスチック

汚染を根絶するために、最高の科学的知見を活用して、各国政府、企業、社会それぞれが、責任を果たしていく国際枠組みを作り上げることです。」と語った。

国際環境法センター」(CIEL、ワシントン)によると、「プラスチックの生産・使用・廃棄に伴う汚染は、人類が直面している最も深刻な人災の一つ」である。

毎年排出される約4億1500万トンのプラスチックごみのうち、8割近くが廃棄物として埋め立てられたり、あるいは河川・海洋投棄等で十分に管理されずに放棄されてきた。その結果、海洋環境、エコシステムに蓄積し、悪影響を及ぼしている。

CIELによると、プラスチックはまず化石燃料に始まり、そのライフサイクルのあらゆる段階で温室効果ガスを排出する。プラスチックの生産・使用が現在のペースで続けば、2030年までにプラスチックのライフサイクル全体からの温室効果ガスの排出量は年間1.34ギガトンに達する。さらに、2050年までに、プラスチック由来の温室効果ガスは累計で56ギガトン、つまり、残っている地球の全カーボンバジェット(炭素予算)の10~13%に達する可能性がある。プラスチックの生産・消費の増加は、地球の気温上昇を1.5度以下に保とうとする国際社会の取り組みを脅かしている。

175カ国から、元首や環境閣僚、政府代表が参加して2月28日から3月2日まで開催された国連環境総会(第5回UNEA第2部)は、法的拘束力のある初の国際枠組み「プラスチック条約」を2024年までを目標に策定するという歴史的な合意に加えて、協定案を策定する政府間委員会(IGC)の年内設置や、幅広いプラスチック汚染対策に関する決議(マンデート)を採択して閉幕した。

今回の決議には、人権の擁護、ゴミを拾って生計を立てる人々(ウェストピッカー)に対する評価、先住民族の役割に対する認識が初めて盛り込まれた。

総会の終了にあたって、CIELのアンドレス・デル・カスティージョ弁護士は、「プラスチックのライフサイクル全体を網羅する法的拘束力のある条約へと、重要な足掛かりとなる決議となった。海洋環境に特別の関心が払われ、詳細かつ具体的な内容が含まれたことで、包括的で、プラスチック危機に十分に対処できる条約を策定する素材が得られた。」と決議の成果を評価する一方で、「しかし、90時間に及ぶ困難な協議から、今後の道のりがたやすいものではないことも見えてきた。保健や気候、生物多様性、人権に関する約束を履行できる条約を策定するには、まだやるべきことがたくさんある。」と語った。

CIELによると、プラスチック危機は本質的に国境を越えたものであり、サプライチェーンは国境を越え、汚染の影響は地球上のあらゆる地域と人間生活のほぼすべての側面に及ぶ。プラスチック危機が持つユニークな性質を考えると、この危機に適切に対処し、プラスチックの過剰生産、有害な足跡(フットプリント)、誤用によって現在人々と環境に与えられている害を緩和するために、協調的かつグローバルな対応が必要である。

現在の法体系はプラスチック汚染のいくつかの要素に対応しているが、海洋ゴミ、漁具、廃棄物、化学物質の一部に焦点を当てた要素が並存しており、断片的である、とCIELは述べている。

「この構造は、陸上と海上のプラスチック汚染に対処するための施策間の一貫性と協調性を欠いており、プラスチックのライフサイクル全体から生まれる汚染源にまたがる規則や規制には抜け穴が多い。プラスチック公害を予防するために、国際社会は、生産、デザインから、廃棄対策に至るプラスチックのライフサイクル全体からの汚染を減らし全廃することを目的とした『プラスチック条約』という特別な法的枠組みを緊急に必要としている。」

「環境保健プログラム」代表であるデイビッド・アゾウレイ弁護士は3月1日、協議の終了にあたって、今回の決議が持つ歴史的意義を強調した。

「6年前、プラスチックのライフサイクル全体に対処する法的拘束力のある条約など不可能に思えたが、今日の発表は、緊急性を理解し対処しようとするさまざまな運動が糾合された結果だ。この運動の力は、今回ともに達成した決議文の中に明らかに見出すことができる。ペルーやルワンダ、ノルウェー、欧州連合のような国々が表明した公約と併せれば、これから策定する条約に、プラスチック危機に対する十分な対応策を持たせることは、十分可能だ。」

「私たちは、これからプラスチック条約の協定案を策定していく中で、健康や気候、生物多様性、人権に対するもっとも強力な保護が、各国政府や産業界によって文言が弱められたり損なわれたりすることにならないように、引き続き協力し続けていかねばならない。」と、アゾウレイ弁護士は語った。(03.11.2022) INPS Japan/ IDN-InDepth News

 

 

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