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Photo: Prime Minister of Fiji addressing the UN General Assembly virtually on September 25, 2021. Source: PM's official Website.

|視点|「人類が直面している安保上の問題は気候変動と重度の病気:世界の指導者たちよ、立ち上がれ」(ジョサイア・V・バイニマラマ フィジー共和国首相)

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Photo: Prime Minister of Fiji addressing the UN General Assembly virtually on September 25, 2021. Source: PM's official Website.

フィジー共和国のジョサイア・ボレンゲ・バイニマラマ首相は現在、太平洋諸島フォーラム(18カ国)の議長を務めている。オンラインで開催された国連総会で9月25日に演説した同首相は、国際社会に対して、人類のために、より良く、よりグリーン(環境にやさしく)で、よりブルー(海の保全と開発の両立)な、そしてより安全な未来をというフィジーのビジョンを共有するように求めた。

【スバIDN=ジョサイア・V・バイニマラマ】

今年の国連総会で発表された国連報告書は『我々の多国間の挑戦:国連2.0』である。つまり、より良く、よりグリーン(環境にやさしく)で、より安全な未来に向けた青写真を示したものだが、私はここに「よりブルー(海の保全と開発の両立)な(未来)」を付け加えたい。

私たちはフィジーのためのこのような未来を望んでいる。つまり、自然に抗うのではなく共生する市民たちが住む島々、そして、クリーンエネルギーによって気候変動の影響から守られた、持続可能な経済成長を望んでいる。

私たちは、強固で強靭な医療制度や、グリーン(環境にやさしい)でブルー(海の保全と開発が両立できる)経済によって支えられた働き甲斐のある仕事と収入を望んでいる。成功するためには、こうした私たちのビジョンが人類のビジョンとならねばならない。なぜなら、私たちの運命は世界の運命だからだ。

世界がたどっている現在のコースは、私たちが望む将来に全く近づくものではない。恐るべき病原体が人々の間で燎原の火のごとく広がり、不平等が事態を悪化させている。今年だけでも、気候変動を原因とする洪水や熱波、火事、サイクロンによって数多くの人々が亡くなり、持続不可能な経済的損害を与えた。私たち人間はこれらの原因であるにも関わらず、解決策を導くことを拒否している。

私たちの共通の課題」における国連事務総長の勧告がここで注目される。新しい組織、新しい資源、国連が奉仕する人々との新しい信頼の紐帯、こうした新しい国連でもって、この時代に立ち向かわねばならない。

新しい国連は、社会の周縁にいる人々、とりわけ女性や女児に対するエンパワーメントを推進し、そうした人々をグローバルな意思決定の中心に据える。

昨年、私たちは新型コロナウィルス感染症がもたらした2つのパンデミック(1つはワクチン接種により裕福な国でのみ収まりつつあるもの、もう一つは途上国世界のほとんどにおいて一層悪化しつつある経済危機)に対峙していることが明確になった。こうした広がりつつある亀裂は、失われた命の数と、失われた経済的進歩の年数によって測ることができるであろう。

「南」の国々においては、かつて「持続可能な開発」と世界が呼んだものが私たちの目前で崩壊しつつある。数多くの雇用が失われ、数多くの人々が適切な食料を入手できなくなり、ある世代全体が教育を受けられなくなった。この危機がもたらした傷は、放置すれば、長年にわたって私たちを苦しめることになるだろう。

フィジーの経験は、平等な復興をいかにして始めることができるかを示している。まずは早期にワクチン接種を実施することから始まる。新型コロナウィルス感染症の発症事例がフィジーで見られなくなって丸一年経過した後、突然デルタ株が国内に入り込み、恐るべき第二波が起こった。ワクチン確保を急ぐ中、当初はややもたついたが、私たちはこの戦いに勝利しつつある。

フィジーの110の有人島全体で、成人の98%がワクチン接種の1回目を済ませ、67%以上が2回目まで済ませている。必要なワクチン確保に尽力してくれたインド・オーストラリア・ニュージーランド・米国に感謝したい。

現在の私たちの任務は、コロナ禍によって失われた10万以上の雇用を回復し、半減した政府の歳入を取り戻すことである。フィジーは間もなく、世界各地から観光客やビジネス客の入国を再開することになろう。経済を近代化し復興させる、デジタル化強化のような投資のトレンドを加速させることを目指している。

しかし、新型コロナウィルスに対するフィジーの勝利は、国際社会がワクチン投与を加速しなければ短命に終わるであろう。富裕国が市民への3回目のワクチン投与(ブースター接種)を検討している一方で、最前線の医療従事者も含め、途上国では依然として数多くの人々がワクチン接種を受けられないでいる。世界的に見れば、コロナによって毎日数千人の命が失われている。途上国にワクチンを供与できなかった私たち全ての責任だと言えよう。

ワクチンナショナリズムを終わらせるべきだ。G7、G20、そして多国間金融機関もこれを止めることに失敗してきた。国連だけがこのリーダーシップの不在を埋めることができる。私は、他の指導者らに加わって、途上国へのワクチン完全供与に向けた、期日目標をもち、費用が提供される詳細な計画について合意するための緊急特別会合を招集するよう国連に求めた。

ワクチンの不平等は、より大きな不公正の徴候であり、今の国際経済システムが本質的に抱える問題である。この不公正とは、復興を加速させることができる資金(あるいは資金へのアクセス)が不平等に分配されている、ということだ。

富裕国が、ほぼゼロ金利の中で多額のお金を刷りばら撒くことで経済を復活させようとしているのに対して、途上国、とりわけ小国は、ただ命を永らえさせ、食料を与え、健康を保つだけのために、懲罰的なレートでもって資金を借りねばならない。

コロナ禍を通じて、我が国の政府は史上最も多額の再分配を展開した。フィジーの成人人口の約3分の1に対する失業手当数億ドルを支給した。老齢年金や、障害者などの社会的弱者に対する金銭的給付などの社会的保護プログラムすら拡大した。

そうでなければ大規模な貧困が発生したはずだ。その選択肢はとても受け入れられるものではない。しかし、その財源としては、政府歳入が急速に減少していたために、起債に頼らざるを得なかった。

私たちには、小島嶼開発途上国(SIDS)独自のニーズを踏まえた開発金融の革新的な枠組みが必要だ。社会の強靭性強化の緊急性を踏まえ、20世紀の規範を打ち破るような債務の持続可能性を評価するより先進的な枠組みを採用しなくてはならない。

今回のコロナ禍は、単独行動が私たちを導いた方向、多国間機関がやりたくない方向について、痛みを伴う教訓を与えた。今後のパンデミックを回避し、あるいは最悪の気候変動を逃れるチャンスを得ようとするならば、協力の新たなフロンティアを見つけねばならない。小国が、よりグリーン(環境にやさしく)で、よりブルー(海の保全と開発の両立)で、より良い復興を目指すならば、私たちの将来を決める決定に対して、私たちが同等の発言権を持ち、同等の票を投じられるようにしなくてはならない。小国は、その利害について耳を傾けてもらい、理解してもらい、行動してもらう必要がある。

「地球を救え」ということがあちこちで言われているにも関わらず、世界全体で公約されたことは極めて少ない。それはあたかも、気候変動が引き起こした大嵐の風に向かって唾するようなものだ。

地球の気候は(産業革命前からの気温上昇)2.7度の気温上昇に向かいつつある。太平洋地域で海抜の低い国々や世界の海岸の大部分が失われることになるだろう。また、洪水・サイクロン・沿岸の浸食・山火事による災害が頻繁に起こるだろう。気候変動を原因とする紛争、大量移民、食料供給と生態系の崩壊を引き起こすだろう。これは想像を絶する恐るべきことだ。しかし、そこへと私たちは向かっている。

2020年3月以来、フィジーにはサイクロンが3回襲来した。そのうち2つは「強度5」であった。フィジー国民は忍耐強い。私たちは今後も耐えることになろう。しかし、人々の忍耐強さをいつまでも讃えているだけというわけにはいかない。本当の強さは国民の勇敢さだけではなく、金融資源に私たちがどれだけアクセスできるかによっても決まるだろう。

今日、小島嶼開発途上国には、気候変動関連の財源の2%以下しか割り当てられていない。真に強靭なフィジーを作るには、迅速に提供される補助金、供与条件を緩和した長期金融、官民協働・パートナーシップを通じて確立された金融ツールへのアクセスを必要とする。

フィジー経済は豊かな海に依存しており、現在の衰退を反転させる大胆な策を採りつつある。2030年までに、100%持続可能な排他的経済水域と、30%を海洋保護区域と指定することを目指している。持続可能な養殖、海草栽培、高価値の加工魚への投資を拡大している。

しかし、これをフィジー単独で行うことはできない。違法・無届け・無規制の漁業を止めるために、私たちはグローバルな仕組みに目を向けている。国家の管轄権を超えた水域における海洋を守るための新たな条約に合意するよう、国連加盟国に求めている。

1カ月後、極めて影響力の大きいCOPのために私たちはスコットランドに集う。グラスゴーにおける太平洋諸国の任務は明確だ。「1.5度目標」を保つということである。

そのためには、2050年までの排出ゼロへの道に大部分の国を乗せる、2030年までの大幅削減を私たちは求めている。

こうした公約と政策パッケージにCOP26の場で同意する用意のない指導者たちは、グラスゴーへの航空便を予約すべきではない。その代わり、彼ら、そして彼らが代表している利己的な利益は、彼らが地球に向けて解き放っているものの厳しさに見合うだけの結果に直面することになるだろう。

私たちは国家間の戦争を容認しない。とすれば、地球や、地球が支えている命、将来世代に対する戦争をなぜ容認できようか? それこそが、太平洋諸国がグラスゴーで譲れない一線だ。排出ゼロ、言い訳ゼロを私たちは要求する。

COP26では、「北」の先進国は、気候関連資金として年間1000億ドル提供するという目標を履行し、2025年以降は少なくとも7500億ドルまで増額する公約に合意すべきだ。

ミサイルやドローン、潜水艦に多額のお金をかけることができるのならば、気候アクションへの資金も出せるはずだ。脆弱な立場にある太平洋小島嶼開発途上国は、自分たちが原因を作り出したのではないにも関わらず、生存を脅かす危機から自らを守るために気候関連金融を利用しようとしても、僅か0.05%しか利用できないというのは犯罪的な現実だ。

それが、私たちが直面している難題であり、それに正面から立ち向かう勇気を持たねばならない。それを避けることの帰結は、考えもつかないことだ。(09.28.2021) INPS Japan/ IDN-InDepth News

 

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