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2021年までにカーボンニュートラルを目指すコスタリカ

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Photo credit: Rafael Murillo, Courtesy Congress SEE

中米のコスタリカが国の政策として生態系サービスへの支払い(PES)を開始してから20年が経過した。民衆と地球のために森林保護に取り組む地主に補償を与える世界初の全国的な枠組みである。

今日、国際社会が温室効果ガスを削減し、今世紀末までの気温上昇を抑える努力を続ける中、人口500万人のコスタリカは、自然保護を優先して化石燃料に課税する方針をとる先例を提供している。同国は2021年までにカーボンニュートラル化(CO2排出ゼロ)を実現するという目標を打ち出している。

「私たちは当初、先進国が天然資源を保護する途上国の取り組みに対して資金を提供してくれるものだと期待していました。しかし、これまで何の支援もなされていません。」と国家森林財政基金(FONAFIFO)の事務局長で同国の環境・エネルギー大臣でもあるカルロス・マヌエル・ロドリゲス氏は語った。

9月26~29日にサンホセで開かれた第1回「持続可能性・エコロジー・進化に関するラテンアメリカ会議」に登壇したロドリゲス環境・エネルギー大臣は、「『緑の気候基金』のような国際基金は利用がきわめて難しい」と指摘したうえで、「コスタリカは全国的なCO2削減戦略を世界で初めて打ち出した5か国のうちのひとつですが、これまでのところ、私たちの取り組みに対する協力や資金提供を申し出た国は1つもありません。」と批判した。特別パネルでは、生態系サービスへの支払い(PES)に関するコスタリカの経験について議論された。

現在コスタリカには、地球の陸地面積の0.03%しかない国土に、現在確認されている生物種の約5%にあたる9万5千種が存在している。また、国土の半分以上が森林で覆われており、年間350日は再生可能エネルギーによる電力供給が可能となっている。

しかし、その過去はそれほど明るくも持続可能でもなかった。1980年代の同国では森林破壊が進み、環境危機の瀬戸際にあった。実に国土の1.7%にあたる7万ヘクタールの森林が1年間で破壊されていたのである。

コスタリカでは今日、国土の52.4%を森林が占めている。しかし1987年当時は、現在の半分以下の僅か21%だった。1992年の地球サミット(リオサミット)を受けた1996年、コスタリカは森林法を制定し、先駆的な生態系サービスへの支払い(PES)の取り組みを始めた。同法は、土地使用の変更を犯罪化したもので、土地が森林で覆われている場合、牛の飼育や単一作物の栽培のために開墾することを違法化した。

コスタリカのPESプログラムの中核には、健康な生態系は幅広いサービスを提供するという理解があり、そのサービスには炭素隔離、水のろ過、CO2の吸収、生物多様性の保持、水源の保全、医薬品や自然薬の材料となり得る遺伝資源の生息地の提供などが含まれる。土地所有者に経済的インセンティブを提供することにより、いわゆるコモンズの悲劇(誰でも利用できる無料の資源は時間の経過と共に徐々に劣化するという説)を回避しようとするものである。

かえって国際的な資金支援がないことが、森林破壊のスピードを遅らせ最終的にはその傾向を逆転させて生態系の回復を目指すコスタリカの取り組みを加速させることとなった。コスタリカ政府は、化石燃料の消費に課税したのである。森林回復の資金に充てるために国がガソリンの使用に特別税を課したのは世界で初の試みだった。

あれから20年、ガソリン税の賦課は5億ドルに及び、コスタリカ全土の4分の1にあたる125万ヘクタールの保護に充てられた。

国家森林財政基金(FONAFIFO)は、PESプログラムを通じて年間18万ヘクタールに関する支援要請を受けている。これまでのところ、予算上の制約から、年間5万ヘクタールの保護にしか資金を振り向けることができていない。

「PESプログラムは毎年強化されてきました。発想の転換はコスタリカのビジョンを示しており、パラダイムシフトです。」とロドリゲス事務局長は強調した。

PESプログラムの恩恵(保護された森林1ヘクタール当たり120USドルの補償金が支払われる)を受けている主体の3分の1は、企業や協同組合である。また、別の3分の1は、34万ヘクタールを占める先住民族の土地である。

今回の会議で専門家らは、この補償制度によってコスタリカは3年以内にカーボンニュートラル化を達成する可能性があると述べた。森林の育成は、温室効果ガスの削減に根本的な役割を果たしている。

コスタリカは2160万トンのCO2を排出しているが、そのうち19%を削減し、残りの部分に対して補償を与える計画だ。

国連食糧農業機構(FAO)気候・生物多様性・土地・水開発局次長でコスタリカ元環境相のレネ・カストロ=サラザール氏はIDNの取材に対して、PESプログラムによって他の途上国もパリ協定の履行が容易になるかもしれないと語った。

私たちがこの制度を始めた当時は、炭素隔離を測定するのが極めて困難でした。当時は航空機を用いなくてはなりませんでした。しかし現在では、衛星や新技術を使って測定することが可能になったのです。最初は1年半かかっていたものが、最近は1週間で分析が終わります。」とカストロ=サラザール氏は語った。カストロ=サラザール氏はコスタリカでPESプログラムの実施責任者を務めており、世界初の炭素取引の責任者でもある。

「今ではメキシコなどの国々が、コスタリカの経験から得た独自のPESプログラムを開発しています。それはより洗練されていて、農民や先住民族が保有する共有地のようなカテゴリーも含むようになっています。」とカストロ=サラザール氏は語った。

カストロ=サラザール氏の考えでは、PESプログラムは、補助金的な考え方ではなく、生物多様性を保持し、違法伐採や森林破壊を防止する人々に報いるという発想のものである。

ロドリゲス環境・エネルギー大臣もカストロ=サラザール氏と同じ見解である。ロドリゲス大臣は会議の開会挨拶で「コスタリカはこの10年で大きく変貌しました。」と指摘したうえで、「しかし、依然として、人口1人あたりが環境に与える負荷は国内総生産(GDP)の5%近くもあります。消費と生産の新しいモデルを確立しない限り、これを変えることはできません。」と更なる取り組みを訴えた。(10.3.2018) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

 

 

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