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Photo credit: PAHO/WHO/Fernando Revilla. Source: WHO

子どもの現状に専門家が懸念

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Photo credit: PAHO/WHO/Fernando Revilla. Source: WHO【ジュネーブIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】

生態系の劣化や気候変動、それに、過度に加工されたファーストフードや甘い飲み物、アルコール、タバコの消費を促す搾取的なマーケティング慣行によって、世界の子どもや若者の健康と未来が差し迫った脅威に晒されていると指摘する、画期的な報告書が発表された。

世界の子どもと若者の保健専門家40人以上からなる委員会が作成したこの報告書は、「子どもたちが気候危機の崖っぷちに立たされており」、「子どもの健康や環境、未来を適切に守っている国はない」と指摘している。

世界保健機関(WHO)、国連児童基金(ユニセフ)、『ランセット』誌が招集したこの委員会は、持続可能な開発目標(SDGs)の中心に子どもを据えた、「新たな世界的啓発運動」を呼びかけている。『世界の子どもたちの未来のゆくえ(原題:A Future for the World’s Children?』と題されたこの報告書は2月19日に発表された。

「子どもと若者の健康は過去20年間で改善した一方で、現在の進歩は停滞しており、今や逆行しようとしています」と、同委員会のヘレン・クラーク共同委員長は語った。クラーク氏は1999年から2008年までニュージーランドの第37代首相を、2009年から2017年までは国連開発計画(UNDP)の代表を務めた人物である。

クラーク氏は、「発育不良や貧困といった代替指標を取ってみると、低・中所得国の5歳未満児約2億5000万人は、発達阻害と貧困の代理指標から、自分の能力を最大限に伸ばせないリスクがあると推定されています。しかし、より懸念されることは、世界のすべての子どもが今、気候変動と商業的圧力による脅威に実際に直面しているということです。」と語った。

クラーク氏はまた、「各国は子どもと若者の健康へのアプローチを徹底的に見直し、今日の子どもだけでなく、将来引き継がれる世界を守らなければなりません。」と語った。

報告書には、180カ国の新しいインデックスが記載され、子どもの豊かさが比較できるようになっている。具体的には、子どもの生存と幸福をはかる指標として保健、教育、栄養、持続可能性の代理指標として温室効果ガスの排出量、そして公平性や所得格差を含んでいる。

報告書はまた、子どもが健康的な生活を支援するために最貧国もより多くのことを行う必要があるが、特に富裕な国々による過剰な二酸化炭素排出は、全ての子どもの未来を脅かしているとしている。もし、現在の予測どおり、2100年までに地球温暖化による気温上昇が4度を超えると、海面上昇、熱波、マラリアやデング熱などの病気の蔓延、栄養不良により、子どもたちに壊滅的な健康被害をもたらすことになるとしている。

インデックスは、ノルウェー、韓国、オランダの子どもたちが生存と幸福の可能性が最も高いことを示しているが、一方で、中央アフリカ共和国、チャド、ソマリア、ニジェール、マリの子どもたちはその可能性が最も低くなっている。しかし、1人当たりの二酸化炭素排出量を加味した場合、それら上位の国は下位に転じる。例えば、ノルウェーは156位、韓国は166位、オランダは160位となる。これら3カ国は、2030年の目標よりも人口1人当たりのCO2排出量が210%も多い。米国、オーストラリア、サウジアラビアは最も排出量の多い10カ国の中に含まれている。

「最貧国のいくつかは二酸化炭素排出量が最も少ない国のひとつであるものの、その多くは急速に変化する気候により最も厳しい影響に晒されています。子どもたちが生き延び、成長するためのより良い条件を国が整えていくことで、世界の子どもたちの未来は犠牲にはなりません。」

委員会の共同委員長であるセネガルのアワ・マリ・コールセック保健・社会活動大臣は、「人道的危機、紛争、自然災害によって開発が妨げられている国々で暮らす人々は世界に20億人以上いますが、いずれの国でも、気候変動との関連する問題が増えてきています。」と指摘したうえで、「最貧国のいくつかは二酸化炭素排出量が最も少ない国々であるにもかかわらず、その多くが急速に変化する気候により最も厳しい影響に晒されています。子どもたちが生き延び、成長するためのより良い条件を国が整えていくことで、世界の子どもたちの未来は犠牲にはなりません。」と語った。

2030年までの1人当たりの二酸化炭素排出量の目標達成や、子どもの豊かさの指標においても順調(上位70以内)に進んでいる国は、アルバニア、アルメニア、グレナダ、ヨルダン、モルドバ、スリランカ、チュニジア、ベトナム、ウルグアイのみである。

また、本報告書は、有害なマーケティングが子どもにもたらす明らかな脅威についても強調している。データによると、一部の国々ではテレビだけでも1年間で3万件もの広告が見られているが、米国では2年間で電子たばこ広告の若者への露出が250%以上増加し、到達人数は2400万人以上に達している。

委員会の著者の一人であるアンソニー・コステロ教授は、「業界の自主規制は失敗しました。オーストラリア、カナダ、メキシコ、ニュージーランド、米国などにおける研究は、自主規制では子どもに広告を届ける商業的能力は妨げられていないことを示しています。例えば、オーストラリアの自主規制に業界が署名しているにも関わらず、子どもや若者の視聴者は、たった1年間で、テレビで放映されたサッカー、クリケット、ラグビーを見ている間に5100万件のアルコール広告に晒されていました。そして、現実はさらに悪い状態かもしれません。というのも、子どもをターゲットにしたソーシャルメディア広告やアルゴリズムの大幅な増加に関するデータや数字がほとんど手元にないためです。」と語った。

ジャンクフードや糖分の多い飲料の商業マーケティングの子どもへの露出は、不健康な食品の購入や過体重および肥満につながっている。子どもの肥満の驚くべき増加には、自己利益的なマーケティングが関わっている。肥満の子どもと若者の数は、1975年の1100万人から2016年には1億2400万人と11倍も増えており、個人や社会全体課された代償は莫大なものとなっている。

ランセット』誌のリチャード・ホートン編集長は、「今が絶好の機会です。証拠も揃っています。そしてそれを実現するツールも私たちの手中にあるのです。国家元首から地方自治体、国連の指導者から子どもたち自身に至るまで、この報告書を発表した委員会は、青少年の健康を守る新たな時代を生み出すよう呼びかけています。これを実現するには勇気と決意が必要です。まさに私たちの世代にとっての最大の試金石となるでしょう。」と語った。

ユニセフのエンリエッタ・フォア事務局長は、「気候危機から肥満や有害な商業マーケティングに至るまで、世界中の子どもたちは、ほんの数世代前には想像しえなかった脅威と闘わなければなりません。」と指摘したうえで、「今こそ、子どもの健康について再考するときです。子どもの健康を全ての政府の開発課題の最上位に置き、あらゆる検討事項よりも子どもの幸福が優先されなければなりません。」と語った。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、「この報告書は、世界の政策決定者らが、えてして子どもや若者に対する義務を怠っていることを示しています。つまり、子どもの健康や人権、そして彼らが生きていくこの地球を守れていないのです。」「私たちはこの報告書を、子どもの健康と発達に投資し、子どもたちの声を聴き、子どもの権利を守り、子どもたちに適切な未来を作るよう各国に求める警鐘としなくてはなりません。」と語った。(02.24.2020) INPS Japan/ IDN-InDepth News

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