「足るを知る経済」を実践するタイ農民
【チャンタブリ(タイ)IDN=ブロンウェン・エバンズ】
タイの農民が有機農業を始めるのには2つの理由がある。ひとつは健康面、もうひとつは経済面である。クムナン・チャンタシットさん(73)にとっては経済面が動機だった。タイ東部チャンタブリ県に住む彼は、幼少期から同じ土地を耕し続けている。豊かな火山性の土壌であるにも関わらず、かつては必要だと考えていた肥料や除虫剤の代金を支払うために、彼はますます借金地獄にはまり込んでいった。
26年前、彼はようやく他の方策に目覚めた。それは、タイの故プミポン・アドゥンヤデート国王が提唱した「足るを知る経済」だ。わずか4エーカーで家族の生活を支えられるという統合的な農業のやり方である。これに対し、クムナンさんの土地は8エーカーもあった。…